シン・エヴァンゲリオン劇場版 感想(ネタバレあり)

いつも映画観た感想は、備忘程度にレビューアプリに書いているのだが、ちと長くなりすぎたのでブログに残すことに。

いつぞやも書いた気がするが、マナー知らずの客が出す物音等に神経質な自分は映画館に行っても苛立ちを抱いてしまうことが多く、興味を惹かれる作品であっても劇場では鑑賞せず、ソフト化なりサブスク化なりを待つことが常である。
なので、今年封切りされたシンエヴァを観れるのはいつのことになるやら、それまでにネタバレ喰らわずに済むかなと思っていたところ、ありがたいことに公開終了から間もないのにプライムビデオで配信、しかも見放題の中に組み込まれてるときた。
ありがてえありがてえ、一体Amazonはいくらぐらい払ったのかしら?と思いつつ、お盆休みを利用して早速鑑賞。

(以下ネタバレあり)

 


戦闘シーンやら人物描写やらメカ描写やらメカじゃない何か描写やら、フィルムとしてすごく魅力的だった、というのも当然あるのだが、観終わって一番の想いは「嬉しかった」ということかなと。

旧世紀に放送されたTV版「新世紀エヴァンゲリオン」はその謎に満ちた世界観が観る者を惹きつけ、様々な考察が為されたりもして、高校生当時そういう側面に夢中になりもしたが、その本質は、ざっくりとした言い方をしてしまえば「主人公・碇シンジくんの成長物語」だった。少なくともTV版中盤ぐらいまでは。
そのことを久々に思い出させてくれた。最後のこの作品がまぎれもなくシンジくんの成長をしっかり描いてくれたことが嬉しかった。

その成長を後押ししてくれたのが、一足早く大人になっていたトウジやケンスケ、ヒカリといった、もしかしたらもうお目にかかれないかと思っていた旧友たちであることが嬉しかった。

人間同士が関わり合い、嫌なこと辛いことがあっても心を閉ざさずに人と関わって生きていく、生別や死別の苦しみを乗り越えて、または乗り越えられなくてもそれを胸に生きていく。
そんな当たり前っちゃ当たり前のところに、でも父親は辿り着けなかったところへと辿り着けたのが嬉しかった。

そして何より。
TV版の最終回後、庵野秀明氏は様々な媒体で「アニメファンよ、現実に帰れ」と発言していた。あの最終回はそのメッセージを託したものであるとも。
それはスケジュール上の都合でアニメ作品として真っ当にフィルムを完成させることができなかった一種の言い訳という要素もあったのかもしれないが、一方で心底の叫びでもあったのだろう。
しかし、氏のメッセージとは裏腹に、再放送や劇場版(旧劇)製作が決まり、エヴァンゲリオンは肥大化していき、ファンはますます熱狂し、行き着いた先が旧劇ラストの「気持ち悪い」だったのではないだろうか。
そんな言葉で締めくくらねばならなかった庵野氏が、時を経て、一種の感謝を込めて「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン」と別れを告げることができたことが、我々もその言葉とともにエヴァという作品を観終えることができたのが嬉しかった。
解放を意味する歴代エヴァ貫通儀式の中とか、ラストの駅のホームとかに庵野監督自身が混ざってたら面白いかなとか思ってしまったが、まあそれはやりすぎというものであろう。

正直、新劇場版立ち上げの報が入り、序破Qとそれなりに楽しみながらも、ずっとエヴァはあのアスカの首締めて気持ち悪いと言われる象徴的な終わり方でいいんじゃないか、そういうものだったんじゃないかと思っていた。
でも、このラストを観て初めてああ新劇場版やってくれて良かったなぁ、嬉しかったなぁと。
そんな風に思った次第。

まあこういうのがお好みでない人もいるのは理解できるけど、個人的には、改めて終わらせてくれてありがとう、と思える作品でした。

最後に自分からも。

さようなら、すべてのエヴァンゲリオン。