旅打ち日記 函館編①後編 函館競馬場 2018.7.14

飛行機の遅延と己の判断ミスとが重なり、想定よりも遅い時間に函館競馬場へと着到。詳しくは前編にて。

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そんなわけで、JRA全10場制覇の感慨に浸る間も無く、腹ごしらえもそこそこに、歩も力強くパドックへと向かうのだった。


上からも下からも存分に馬を観察できる。パドック派の方には至れり尽くせりなのでは。
下からの覗き込みに、何やらムズムズエロチックな心持ちを抱いてしまうという方は、何かの予備軍の可能性があるので、早めに受診することをオススメしたい。

それはさておき、キミに決めた! と購入した馬券を握りしめて観戦。

旅先で競馬。この至福の時間。他に何もいらない。馬券なんて別に当たらなくて構わない。
……とまでは思っていないのだが、まー当たらんこと。
我が渾身の馬券は虚空を斬り続ける。

気分転換のため内馬場へ……という表現が旅打ち日記では定番化しているような気がするのは気のせいか。

何せ小回りの函館、子どもらが大好きな巨大トランポリン? はあるものの、内馬場にさほど見所は多くなかった。
まあここでしばしぼんやりし、少し気持ちを入れ替えて再度馬券勝負に挑んだものの、やはりこの日は諸々勝てる日ではなかった模様。ケチな当たりが1回あっただけで収支大幅マイナス。
何だよ流れ悪りぃなぁとぼやいたものだが、競馬場を後にしてからも、なかなかの目に遭わされることはその時は露ほども知らぬのであった。(引き)
 



まあ馬券はさておいて、函館競馬場ではこんなんやってた。

当方、熱烈なファンとまではいかずとも、馬券師の道へと足を踏み込んだその日にGⅠを制したこの馬への思い入れはそれなりにある。厳かな気持ちで特別展の会場へ。

こんな感じで勝ったときの写真やら賞品やらが展示されている。
改めて、競馬にのめり込んですぐに、こんなすごい足跡を目の当たりにできたことは幸運だったなあと。

有終の美を飾り、去っていった名馬とは異なり、肩をすぼめてスゴスゴと函館競馬場を後にする駄人間がひとり。
何となく市電ではなく、バスに乗って函館駅へ。

は〜るばるきたぜは〜こだてぃ♪

などと口ずさみ、オブジェの中でブリッジして写真撮ってる女子旅行者を微笑ましく眺める。

そう、大事なのは切り替え。折角の旅先で、いつまでも負け戦にくよくよしているほど馬鹿馬鹿しいことはない。
さっさと宿にチェックインし、明日のリベンジに備え競馬新聞を読み込みたいところではあるが、初日の宿は何と函館から電車で40分ほどの大沼公園界隈。
何も風光明媚な土地柄に惹かれたわけでなく、それなりに早く動いたにも関わらず函館市街に宿が全く取れず、やむなしの選択だった。

調べたところ、大沼公園駅のあたりにはコンビニとかなさそうだったんで、函館駅前のセイコーマートにて飲み物やら食べ物やら競馬新聞やら買い込んで、万全の態勢を整え、函館本線の車両に乗り込む。
離れた場所の宿で良しとしたのは、旅先で普通電車に乗るという行為も決して嫌いではないからということもある。

ワクワクしながら出発進行を待っていたところ、車掌がやってきて衝撃の事実を告げられる。

「この電車は運休になりましたので、降りてください」

…………はいっ???

同じ車両にいた、些かゆとりのある体格をしたJKが「はぁ? 家帰れないんですけど?」などと高い声をあげている。

後で調べたら、まさしく目的地の大沼公園駅で線路に不具合が生じたとのことだったが、その時は情報が錯綜していたのか駅員もバタバタしており、尋ねても運休の理由も復旧の見込みもわからないとの回答。
代替の経路はないか聞いてみたところ、5時間ほど先の次発電車なら動くかもしれないのでそれを待つか、タクシーで行くかのどちらかにしてくださいと言われる始末。

しょうがないのでとりあえず切符代を払い戻してもらい、予約していたホテルにキャンセルの連絡を入れる。
事情を話したところ、軽く嫌味を投げかける程度で、無料で当日キャンセルに応じてもらえたのは幸いだったが、さてどうしようかと途方にくれる。

同じように、あっちからこっちへ来れなくなった人が函館市街のホテルをキャンセルしていないか、予約サイトを眺めてみるも、空きがあるのは3万越えのところか、女性専用ドミトリーのみ。
さすがに3万は厳しいし、どう努力しても女性を装うことは更に厳しい。

明日予約しているところをはじめ、何軒かのホテルに直接電話してみるものも、やはりどこも満室ですとの回答。
一体オレはどうして函館の地で路頭に迷っているんだろう。少し気が遠くなる。

とりあえず、荷物をどうにかしようと函館駅前のベンチで食べ物と飲み物を片付けにかかる。

でかいリュックを携えた中年のおじさんが、駅前のベンチでビール飲みながら蒲焼き弁当。
通行人にジロジロ見られる憂き目ぐらいは、甘んじて受け入れなければならないだろう。

飲食の間も、キャンセルが出ないかスマホをポチポチやっているのだが、たまに出ても2万近くの値段に躊躇してたり、施設やら口コミやら確認している間に他の人に取られてしまうようなことが3度ほど。チャンスの神様は前髪しか無いとはよく言ったもの。
 



すっかり夜の帳が下りてくるに至り、腹をくくる。
もうしょうがない、ネットカフェに行こう、もしネカフェも満席なら居酒屋とマックをハシゴして一晩明かせば良い。なに、こちとら若い頃18きっぷであてもなく旅をしていたときは、宿が見つからなくてコインランドリーで始発まで過ごしていたこともあるんだ。なんとかならあ。
そんな風に開き直り、歩き出したところ、予約サイトに一件新たなホテルの表示が。

すかさず予約。今度は躊躇しない。通り過ぎる前に前髪をしっかり掴む。

部屋は狭いが、函館駅からほど近くで、ベッドはセミダブルだし、部屋代も三連休の土曜日としてはかなりのお値打ち。
むしろ遠く離れており電車も少ない元の宿よりもラッキーだったんじゃないかと。
そんなことを思いつつシャワーを浴びて、上がって一息ついたら、疲労感と睡魔。
考えてみたら早朝に起きた上に、ここに安息するまで色々ありすぎた。こんな珍道中になる予定はなかったのに。

眠い目をこすり、函館記念の検討だけまとめて、あとは明日起きてからでいいやと布団に入る。
遠い旅先、きっと明日は良い日になると、自分に言い聞かせて。うとうと意識はまどろみの中に。


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