2020 高松宮記念 感想戦

あまりにも大きすぎる喪失に打ちひしがれ、代替競馬となったマーチSの検討もできないでいた月曜日。
もちろん物心ついてから40年近くの長きにわたり楽しませてくれた喜劇王を失った悲しみはわずか一日で癒えるはずもなく。ついつい項垂れ、ため息はやむことがない。

それでも僕たちは顔を上げて前を向かねばならない。亡くなった方が生きたくて仕方なかった今日という日を生きる者の、それが責務である。
後ろを振り返るのは、競馬の回顧ぐらいで十分だ。

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◆高松宮記念

◎⑨タワーオブロンドン
◯⑧グランアレグリア
▲⑫セイウンコウセイ
△⑥ダノンスマッシュ
☆⑰シヴァージ
注⑩アイラブテーラー

【買い目】
3連複 ⑥⑧⑨⑩⑫⑰
馬連 ⑧⑨⑰/⑧ー⑫

調整失敗が囁かれるアイラブテーラーは見たかった返し馬がテレビでは全く映らず、もし買わずに来ちゃったら悔しすぎるので薄めに抑えておく。

 


【着順】
⑯モズスーパーフレア
⑧グランアレグリア ◯
③ダイアトニック
⑪クリノガウディー
⑰シヴァージ ☆

重馬場ではあるが時計がものすごく掛かるという状態でもない馬場では、3ハロン34.2は前が潰れるほど速すぎず、直線ヨーイドンの勝負になってしまうほど遅すぎはしなかったのだろう。すなわち、絶妙なペースで楽に逃げることができたモズスーパーフレアのレースに。
昨年の宮記念はじめ中京での成績が振るわなかったので過小評価されていたが、ハマれば鬼強い逃げ馬であることを忘れてはいけなかった。
それを忘れ、過小評価していた者の一人が他ならぬわたくし。ああ不明。

とはいえ、もしクリノガウディーがあそこまで寄れていなければ、好位で逃げ馬を見るこれまた抜群の競馬をしたダイアトニックとクリノガウディーが勝ち負けを争う2頭になっていただろう。
こちらも自分はノーマーク。人気薄ならともかく淀専疑惑があったダイアトニックはあのオッズでは買えないし、マイルでトップでもないのにスプリントに挑戦してきたクリノガウディーは即切りだった。何たる不明。

結果としては、いつぞやのミッキーアイルほどひどくはないように見えたが、最初に入線したクリノガウディーは哀れ4着降着。15番人気の大番狂わせは幻と消える。陣営の方と買ってた方にはドンマイとしか言いようがない。

他の人気どころはといえば、ソツない位置でソツない競馬をしてるように見えたタワーオブロンドンはまるで伸びず、ダノンスマッシュは出負け気味から果敢に位置をとりにいくもこちらも伸びず。先行有利な展開になってしまったとはいえ、あんまりな負け方。
スプリント界のツートップと思われた2頭が、まさかの揃って二桁着順とか。ゴールの瞬間は4頭並んだ興奮よりも「は?」って思いが強かったのが正直なところ。実際「は?」って口に出して言っちゃったし。
馬場が向かなかったか、調子の問題か、はたまた力が衰えてきているのか……栄枯盛衰は世の常とはいえ、できれば秋にはまた立て直して、まだ終わってないところを見せてもらいたい。

一方、グランアレグリアも出負け気味だったが、こちらは後方から抜群の末脚で追い込むという、今までと異なる芸風で強さを見せてくれた。
2戦目は怪しくなる傾向もあるが、VMでも中心視せざるを得ないだろう。

そして結局買ったアイラブテーラーは、まさかのキャンターのごとき走りをGⅠで披露。これこそ「は?」である。
直前追い切りをやらない異例の仕上げとか、紙面で印があまりに少ないことなどから、やはり普通の状態でない可能性が高いことに気づかないではなかったが、でもそんな情報に振り回されて、もし来ちゃったら……と買ってしまった自分の大負け。
ていうか何なのかわからんが、あの状態で出走させてはいけない。どちらにしろ馬券は全く当たらなかったのだが、ちょっと陣営への怒りは禁じ得ない。何らかのペナルティが課されてもよいレベルなのでは。


まあそんなわけで、馬券も外して苦味の多い春のGⅠシーズン開幕戦になってしまったが、それなりにドラマは楽しむことができた。
昨秋に掴みかけた勝利が寸前で掌からこぼれていき、馬上で項垂れた松若騎手が、やや棚ぼた気味ながら今度こそ栄光を掴みとり、松山騎手以来2人目の平成生まれの日本人騎手によるGⅠ制覇を成し遂げる。
それが大観衆の前で繰り広げられたのではないことが、やはり寂しい。早くこんな光景をこの目で見届けられる日が戻ってきてほしいものである。


その日が来るまで、笑って生きよう。