旅打ち日記 札幌編Ⅱ⑥ 札幌競馬場 2019.8.18

その場所は朝から、遊びに来た者、勝負に来た者、なんとなく来た者たちの熱気で溢れていた。

夏競馬最大のレース・札幌記念。
旅の締めくくりに、これほど相応しい舞台はないだろう。
幸運にも前日に空席販売でキャンセルを拾えた札幌競馬場の指定席にて、まずは昨日同様WINSでゲットしてきた戦利品を堪能。

ダノンファンタジーのクロスももちろん良いのだが、何と言ってもサングレーザーのクリアファイル。
昨日はクロコスミアの(映り込んでいる)扇子をゲットしたことを合わせて考えると、あら不思議、大一番の札幌記念の結果が見えてきてしまう。
まったく天啓を与えてくれるのもいいが、もう少し分かりづらい形でないと張り合いがないぜなどと嘯くわたくし。

すっかり余裕の構えで、席代の100倍程度の価値は間違いなくある景色を悠々と展望。

競馬場の魅力は? と問われたなら、この画像を見せれば充分。百聞は一見に如かずとはよく言ったものである。これほど美しい造形物を、自分は他に知らない。
逆に言えば、この景色を見ても何とも思わない方には、どれだけ言葉を費やしても無駄というものだろう。

とはいえ、競馬場は景勝地にあらず、馬と騎手と関係者と馬券師たち、そこにいる者皆が勝ちを競い合う競勝地じゃい! と鼻息荒くして馬券勝負に挑む。

自由席で見ようと指定席で見ようと馬主席で見ようとテレビ観戦だろうと、当たるときは当たるし当たらないときは当たらないのが競馬。そして大体は当たらないのが競馬。
負けがかさんでいき、席とれたラッキーがだいぶ目減りしていく。
 



気分転換に場内をぶらついてみる。
(昨日は暑くてあまり歩きまわる気になれなかった)



二年前にはなかった、内馬場のテラス席。
まあレースは見づらかろうが、仲間うちでワイワイ楽しむには良いかも。



新馬戦にてルメール、デムーロ、川田、福永を押しのけて1番人気に推された藤岡兄騎乗のミヤマザクラ。
当方、コヤツが罠であることは見破ったが、2番人気のルメールまで罠とは見抜けずに歯噛みする。


気分転換すれど馬券は芳しくない。
コレはガソリンが足りていないのではないかと、補給することに。

ビールとステーキ丼の合うことときたら。それに異様に旨い。おそらくA5ランクの牛肉に、門外不出の秘伝のタレを使っているのだろう。米は一粒一粒吟味して、少しでも欠けていたり形が良くないのをピンセットで除いていると思われる。


勝負メシを入れ、さあここから逆襲だと奮い立ち、メインレースのパドックへ。

1枠1番のブラストワンピース。
これは典型的な危険な人気馬。斤量背負ってたとはいえ、目黒記念の負けっぷりは早くもキャリアの終焉かとさえ思われるものだった。1円たりとも買ってはいけない。


さあ決戦の時。
このレースをこの目で見届けるために、そして勝つためにはるばる北の地までやってきた。

響き渡るファンファーレ。そして栄光へのゲートが開く。

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興奮しすぎて我を無くしてしまったか、この後の記憶が飛んでいる。
我に返った時には、既に競馬場を後にし、何やら高いところに棒のように突っ立ち、景色を見ている自分がいた。

遥か山の向こうには初日に訪れた小樽の街と海があるはずで、そのだいぶ手前に、ついさっきまで激闘を繰り広げた札幌競馬場。
札幌記念で勝ったか負けたかはちょっと思い出せないのだが、まあそれはさほど重要ではない。

最高の場所で最高の時間を過ごせた。
それだけで他に何がいるというのか。

戦いは終わった。さあ帰ろう。
帰る時が来たらサッと背を向けるのが粋な旅人というものである。


しかし名残惜しい。いつまでもここにいたい。


美しくも残酷な斜陽を前に、なかなか足が動かない野暮な旅人。



結局、もう行かないと飛行機が飛び立ってしまうという頃合いまで未練たらしく居続ける。


空港へと向かう電車の中で、東京へと帰る機上にて、出るのは深いため息ばかり。

今回もとんでもなく楽しかった。間違いなく此処にはまた来ることになるだろう。その日が今から楽しみでもある。

しかし、自分は人生であと何回旅に出られるのか。
まだ残りわずかという年齢ではないが、有限であることは間違いない。
そして「その日」は想像以上にあっという間に来てしまうのだろう。

なぜそんな想念にとらえられたのかわからないが、旅の喜楽にはいつでもある種の哀切がともにあった気がする。
こうして駄文を連ねていて、そのときの気持ちを思い返して、またため息。

人の旅路ほど儚いものはない。






まあ秋には京都行くんだけど。

二年前はロクなもん食べなかったんで、次はエエもん食うぞー。
馬券当てて祇園で遊ぶんじゃー。

めっちゃ楽しみ♪