2020 天皇賞(秋) 感想戦

後年、伝説の三週間と語られるかもしれないそのラスト。稀代の名牝の誰も辿りついたことのない境地への挑戦。
或いはその瞬間を見届けるにあたってノイズになってしまう馬券なぞは買わない方が良いのではと思ったりもしたが、そこは馬券師のサガ。懲りずに安月給の一部を投じる。

◆天皇賞(秋)

◎⑨アーモンドアイ
◯⑦クロノジェネシス
▲⑪ダノンプレミアム
△④ダノンキングリー

【買い目】
3連複 ⑨ー④⑦⑪

【着順】
⑨アーモンドアイ ◎
⑥フィエールマン
⑦クロノジェネシス ◯
⑪ダノンプレミアム ▲
⑧キセキ

 


ダノンプレミアムが今回は逃げに打って出る。ダイワキャグニーやジナンボーが主張していたら譲って番手に収まっていたのかもしれないが、おそらく陣営の決め打ちではなかろうか。
アーモンドアイは好位につけ、クロノジェネシスは出負け気味のスタートからキセキに進路をとられてしまい後方からの競馬に。
(これパトロール見ると、武豊はクロノが出遅れた&内側の馬に寄られて進路が狭くなってるのを見て、あえて斜交にならない程度に内に寄せてカットしてるようにも見える。怖えお人やで)

GⅠにしてはスローのペースとなり、直線スピード勝負。当然のごとくアーモンドアイが抜群の手応えで進出。前にいたキセキ、ギャグニー、ダノンを捉えて先頭に立つ。
高速馬場=前にいる馬が止まらないというのが昨今よく見られる光景だが、後方から32秒台の末脚で迫ってきたのは同じ勝負服の2頭。
先にクロノジェネシスが出てきて、これは厚めに買ってる◎◯▲で決まるか!?と拳を握りかけるものの、更に凄い脚色でフィエールマンが出てきたのを見てとり、バンザイなしよ。

それでもこの展開でアーモンドアイが捕まることはなく、キャリア10回目、GⅠレースにおいては8回目となる先頭でのゴールを決める。
これまでで最も僅差となる半馬身差まで迫られたことを以て、衰えが見えてるという声も多少あるようだが、これは単に昨年の秋天あたりと比べて相手が強かったのでは。ダノンプレミアムとの着差は大して変わらないわけだし、昨年後方からの追い込みだったワグネリアンとユーキャンスマイルがそれぞれ強化されて2・3着になったと考えると丁度しっくりくる。
(今年は高速馬場、昨年は超高速馬場という違いもあるかと)

クロノとフィエールマンについては、スタートで後ろからになったのが痛かったか、逆に半端に位置をとれていたらあれほどの伸びは見せられなかったかはわからないが、JCや有馬に出てくるなら有力であることは間違いない。
フィエールマンは予想記事で書いたとおり、買い目以外では唯一怖いと思っていたが、危惧していた以上のキレ味を発揮。あーやっぱ来ちゃったかぁと肩を落とすことに。じゃあ買っとけって話だが、5,000円が10,000円になるかどうかの勝負をしても仕方がないと、怖い馬のうちどれかは切らねばとなったわけで。チョイスミスではあったがまあ仕方がない。

そのチョイスした方のダノンキングリーはまさかの見せ場なしのシンガリ負け。
この馬自身も非常に心配ではあるが、ヴェロックス、サトノルークスはGⅢで勝ち負けできず、ワールドプレミアは春全休、大将格のサートゥルナーリアも宝塚記念で馬券になれずと、この世代の牡馬はかなりの暗雲が立ち込めている。
JCでクラシック勝ち馬たちが復活の一撃を決めるかどうか、注目したい。


というわけで、一部ああだこうだ言う人もいるようだが、アーモンドアイが讃えられるべき偉業を成し遂げたことは間違いない。インタビューでのルメールの涙は予想外だったが、それだけプレッシャーかかっていたのだろう。
ほぼ間違いなく引退レースは香港であろうし、情勢的に渡航が難しいとなったらJCや有馬には行かずに幕引きとなるような気がしている。
早くも惜別の念が湧いてやまないが、圧巻だったJCや昨年の秋天を含め、この名牝の走りを現地で4回も観れたことを幸せに思うことにしよう。


これは前日現地への侵入に成功して収めた一枚。当日も行きたかったなあ……
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