2020 皐月賞 感想戦

JRAの10場すべてに足を運んだことのある者として、確実に断言できるのが、最も客層がよろしくないのは中山競馬場であること。
センスの欠片もないヤジが飛び交い、人にも馬にも耳障りなオイオイの掛け声は狭い分か府中よりも大きく響く。現地にいるとそういう人間の絶対数は決して多くないのだが、少数のノイジーな輩が大多数の良識ある人間の顔をしかめさせるのはSNSでも現実世界でも同様のことなのだろう。

今年の皐月賞は無観客での開催。百害あって一利ぐらい(馬券などは買ってると思うので)の連中が出す雑音は全く聞こえてこない。
このことから、ネットやSNSでは却って無観客の方が良いんじゃないかという意見もチラホラあり、まあ大いに頷ける部分もあるのだが、どうにも寂しいことは否めない。

雑音発生器である方々については別問題として、やはり競馬は観客があってこそのもの。
それがGⅠ、ましてクラシックの一戦、それも素晴らしい名勝負であったのならば尚更のことで。

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◆皐月賞

◎⑤サトノフラッグ
◯①コントレイル
▲⑯ガロアクリーク
△⑪クリスタルブラック
△⑰ヴェルトライゼンデ
☆⑭キメラヴェリテ

【買い目】
馬連 ⑤ー①⑪⑭⑯/①ー⑯
3連複 ⑤ー①⑪⑭⑯⑰

 


【着順】
①コントレイル ◯
⑦サリオス
⑯ガロアクリーク ▲
⑧ウインカーネリアン
⑤サトノフラッグ ◎

キメラヴェリテが逃げ、少し離れた好位集団の中にサリオスがいるというのは想定どおりだったが、同じく好位で前を窺うものとばかり思っていたコントレイルが五分のスタートから下がっていき後方からのレース。

その時点でこちらは、うわやりやがったと。
陣営は違えど二年前にやはり一番人気の馬でしたように、皐月賞を全力で獲りにいくのでなく、より距離が長く直線の長い日本ダービーを見据えた後方待機策に出やがったなユーイチめと、思わず唸る。

しかし、今年騎乗しているのはそんなレベルの馬ではなく、またスーパー前残りの展開でもなかった。
早め進出のマイラプソディに惑わされることなく、完全に進路が開いた3〜4コーナーでスムーズに外に持ち出し、直線差しかかるときには前に並びかけてしまうと、そのまま他のどの馬よりも強く速い脚で伸びていき、福永祐一をクラシック全制覇という生涯グランドスラムばりの偉業へと導いた。

レース後のインタビューにて、福永騎手は想定とは違って馬が前に進まなかった、ダービーのことは考えていなかったと言っていたが、結果はともかくダービーのことは念頭に置いてたんじゃないかと疑う気持ちは拭えないのだがどうだろう。
まあどちらにしても、当然ダービーでも中心視せざるを得ないのは確か。頂上決戦でのこの馬の走りを見るのが早くも楽しみでならない。

好位からの競馬で垂れることなく唯一食い下がったサリオスの強さにも度肝抜かれた。展開を考えると勝ち馬より強い競馬だったと言えるかもしれない。
マイルしか経験がなく中山も初ということで、有力馬の中では危険と見て、この舞台でも強かったらしょうがないと切る決断をしたのだが、ここまでしっかり強いと諦めもつくというもの。
次はNHKマイルカップなら確勝レベルかもしれないが、願わくばダービーでの再戦を観たいところではある。

軸だったサトノフラッグは中団で脚を溜めて、丁度直線入るタイミングで前と並びかけるという、さすがルメールと言いたくなる抜群のレース運びだったものの、伸びていくことなく掲示板まで。
抜き去っていったコントレイルに怯んだか、そもそも力が足りなかったかわからぬが、果たしてダービーでの逆転があるのかどうか。
取捨悩ましいところではあるが、あの競馬をして3着にも入れずに1秒差で負けた事実は大きい。


3着のガロアクリークを高めに評価し、本命絡み以外ではコントレイルとこの馬の馬連のみ持っていたので悔しいところもあるが、これだけの名勝負を観れたのだから、潔く諦めるしかないだろう。

できることなら、こんな素晴らしい戦いは現地で観たかったと思っている競馬ファンがどれだけいることだろうか。
その一人として、少しでも早く平常の日々が戻ってきてくれることを願ってやまない。
そしてそれ以上に、この日素晴らしいレースを見せてくれた優駿たちの最高の晴れ舞台が、つつがなく実施されることを強く強く祈念。