泥棒なのに罪に問われない輩

銀行のATMではしばしば盗まれることがある。
普段より月末月初や5.10日などの混雑する日や、昼12時台などの混雑する時間帯にわざわざ銀行になど出向かないようにしている。
本日26日木曜の午前中、ベストとまではいかなくとも、まあ悪くはない日時選択の筈と、或る振込を済ましに近所の銀行ATMへ。

3台あるATMは埋まっており、他に待ち人はいない状態。3人が3人とも重たい出納を行なっているのでなければほぼ待たなくて済む筈だがと様子を見たところ、うち2人はいかにもなバッグと多量の封筒を台の上に置いている。
業務使用の奴がこんな小さな支店使うなよボケと内心毒づきつつ、もう1台はと見ると利用者は御老人。ああこりゃ操作に時間かかるかなと覚悟したところ、少し様子が違っていた。

その老人は機械を操作するそぶりがなく、じっと手元の通帳を見つめている。
まあ、出納前後に残高など確認することもあろうが、それにしても長い。体感ではなく、実際に1分以上はジッと見つめていた。いや、自分がそこに到着したとき既にその年寄りはその状態だったので、もっと長い時間だったのだろう。

あまつさえ、通帳のページをめくり、また丹念に読み込み出す爺さん。温厚な自分もここらでさすがに苛ついてきた。
出納前の確認なら家で済ましてくるべきだし、後であるならさっさとどいて次の人間に場所を開けてから確認すべきところ、そのジジイはいつまでもATMの前に陣取り、機械を操作するでもなく通帳を読み込んでいる。

オイいい加減にしろよどけやコラと口から出そうになったとき、ようやくその老いぼれは通帳を悠然とした動作で鞄にしまい、ノロノロとその場を立ち去った。他のATMを使っていた業者的な人が立ち去ったのもほぼ同時だった。

 

本当なら2、3分のタイムロスをどうこう言いたくはない。あの坂本金八だって前の奴が遅いことに不平を言う生徒を「長い人生5分や10分人の先を越したところで何になるんだ」と叱ったことがあった。まったくもってその通り、良い事言うなあと思う。

自分とて、前の人が慣れない操作に時間がかかってしまうとかのシチュエーションだったら全く腹も立たないだろう。
が、件の老いぼれは後ろに人がいる(かもしれない)という当然の想定への意識の低さ、配慮のなさで不要にATMの前を陣取り、こちらの時間を盗んだのだ。コレに腹を立てずにいられるほど鷹揚な人間にはなれない。

生活していると、こんなことはいくらでも満ち溢れている。

レジ打ちが終わり支払金額を伝えられてから財布を取り出し始めるババア。
改札口の前で立ち止まり、行き先を確認しはじめるアホ。
買った馬券をとりあえず全部払戻し機に突っ込むバカ。

人生の中で、こういう手合いに盗まれた時間を合計すると一体どれぐらいになるのだろう。
もしかしたら、もう一つ人生を創設できるほどの時間が無駄にされているのではないだろうか。

頭良い人、早くコレを発明してくれないか。

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普段からそんなに時間を大切にして生きているのかと問われたら、自分の場合は答えはノーなのだが、だからといって他人に時間を無駄にされるなどたまったもんじゃない。
あいつロクなことに金使わないから盗んでも良いなんて理屈は成り立つわけがない。

翻って、自分は逆の立場になることはないかと考えてみる。
上記のような迷惑行為はなるべくしないよう気をつけてはいるつもりだが、あまり俊敏なタチでもないので、或いは知らず知らず人の時間を奪ってしまっていることもあるかもしれない。
ただ生きているだけで、そんな犯罪的行為をやらかしてしまっているかもしれない。

場合によっては相手にその報復を受けることもあるかもしれないと、それだけは意識して暮らしていくことにしよう。
あの老害だって、自分がもう少し荒くれた人間であれば、蹴りの一つもお見舞いされていたことだろう。
そんな目に遭わずにすんでいる僥倖を、彼は露ほども自覚していないだろうが。