2018 有馬記念 感想戦の前に 〜マカヒキとサトノダイヤモンド〜

ものすごい人だかりのパドックに2頭のGⅠ馬。

馬番④マカヒキと、2頭後ろの⑥サトノダイヤモンド。
上方からでよくはわからないが、どことなく威風堂々とした足どりに見える。

今から2年半前の府中、最強世代の最強を決める頂上決戦で、雌雄を決したこの2頭。
あの日、あのレースを目撃した誰もが、ハナ差でゴールを駆け抜けた2頭の優駿が、この先栄光に輝くキャリアを送ることを確信し、そしていつか再戦することを夢見ていた。
 



あれから2年半が経ち、ようやく相見えた両雄。
一方は6番人気、若き日に頂点に立ったもう一方は12番人気。この組み合わせで馬連2万馬券。
いずれもあの日ともに戦った騎手は他の馬を選んでおり、このレースで初めてタッグを組む騎手が跨っていた。
もちろん、この2頭がダービー以来の対決になることを取り上げるメディアはほとんどない。
苦難に満ちた2年半が、両馬をそういう位置付けへと追いやっていた。

先行した馬が粘り切ることができず、これまで真価を発揮できなかった3歳馬と、現役牡馬最強と目される4歳馬が勝ち負けを争い、競馬場全体が興奮と熱狂の坩堝に化す中、あの5歳馬2頭はこれといった見せ場を作ることなく、ひっそりとゴールを駆け抜けていった。

サトノダイヤモンドのラストランは、馬番号を掲示板に載せることなく終わった。
マカヒキは、ついに国内で二桁着順をとってしまった。

府中からの帰り道、あの2頭がこの先どんな飛翔を見せるか胸を弾ませていたときのこと。
海外挑戦の報を受け、胸ときめかせていたときのこと。
思い出すにつれ、胸がしめつけられるような思いがする。

世の中すべて無常。競馬はとりわけ。
光があれば必ず影もある。
強くなる馬もいれば、弱くなる馬もいる。

ただそれだけの、ごく当たり前の話。
だが中山からの長い帰り道、物思いにふけり、ついついため息をついてしまう自分がいる。