三浦弘行九段出場停止処分について

王座戦第4局に備えて休みをとっていた昨日。羽生さんのストレート勝ちという望外の結果により、単なる休日に相成った。
家でゆっくりしつつ、たまってる洗い物や洗濯を片付け、ようやく購入した「将棋の渡辺くん」2巻を読んだりし、夜には10キロジョギング。
競馬以外ではすっかり出不精なのは困ったものとして、まずまず充実した休日を過ごせたかなと思っていた矢先に、とんでもないニュースが。

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我が目を疑った。俄かには受け入れ難いものがある。どうか嘘であってくれと願いながら床についたが、起きたらやっぱり現実だった。

よくよく見ると、不正疑惑に対しては現時点で白とも黒ともハッキリしておらず、あくまで三浦九段が竜王戦の出場辞退の意向を示した(にも関わらず休場届が出なかった)ことに対しての措置である。

しかし、メディアはあたかもソフトカンニング疑惑に対してのペナルティで出場停止になったかのように報じ、そのような印象を抱いてしまっている人は多いのだろう。
まあ、この発表では無理もないことかと思う。

疑惑そのものについて、個人的には白であると信じたい。
三浦九段はソフトが強くなる前から強かったとか、つい最近公開対局の棋戦で優勝してるとか、解説でも手がよく見えてるとか、昔から研究熱心で有名だとか、大した根拠にならないことは重々承知ではあるが、それでもあの人がそんな愚かな行為を働くなんて思いたくない。

でも、もし本当に離席の多さと指し手の一致率だけを根拠に疑いをかけられてるのなら、それに対して身体を休めていたという言い分は(多少不自然であっても)通らないってことはないと思うので、何らかの確証があるのかなぁ……

で、今回連盟の対応についてあちこちで批判の声を見てるけど、外形だけを見る分には、別にそこまでまずい対応はしていないのかなと。
(そもそも批判してる人の大半は処分が不正に対するものだと勘違いしている)

告発者が誰かは知らないけど、そういう声があがった時点で聞き取り調査を行うべきだし、その結果、三浦九段から出場辞退の意向があったのならばもう第1局を目前にしたこのタイミングで延々と休場届を待ち続けるわけにもいかないだろう。疑惑については現時点では伏せて発表をしたかったところだが、辞退ではなく出場停止処分になってしまった以上、経緯を説明しないわけにはいかない。

しかし釈然とはしない。
問題は、聞き取り調査の場で、なぜ「疑惑は否定する。竜王戦は出場しない」などという意向に着地してしまったのかということで。

疑惑をかけられたことにブチ切れて三浦九段から言い出したことであれば、気持ちは理解できるが、大人として社会人として忍耐が足りなかったのかなとは思う。
せめて、自分から休場を申し出たのだとしたら、届を出すなり発言を撤回するなりしなければならなかった。理不尽であっても社会とはそういうものだ。特殊な世界にずっと身を置いていたがゆえの欠落かもしれない。

逆に、この着地点に連盟側が導いたのであればこれはもう最悪としか言いようがない。

どこにでもいる。こういうコトにあたる立場でありながら、フラットで中立な視点で話を聞くのではなく、いずれか一方の言い分を初めから取り入れており、勝手にどう収束させるか決めていて、もう一方の言い分など頭から聞く気はないという老害のような輩が。
会社の管理職、学校の教員、その他あらゆるところにそんなのはいる。今回、聞き取り調査に及んだ連盟の人がそんな人間であった可能性もあるのではないか。三浦九段を竜王戦に出場させないという意図がありきの聞き取りだったのかもしれない。
だとしたら、三浦九段はまんまとやられたことになる。

そもそも、その聞き取りの場、そこで使われた言葉は、長年真摯に将棋に向き合い、地位と名誉を築いてきた一棋士に対して敬意を欠いていないものだったのだろうか?
色んな意味で、米長前会長が存命なら、こんなことにはならなかっただろうなと、残念でならない。

まあ、こうなってしまった以上、ファンとしては続報を待つしかない。
週末開幕の竜王戦。気を取り直して渡辺竜王vs丸山九段を楽しめるかどうか。さすがに難しい。