都知事選と選挙に行くべき動機についての愚考

数日後に都知事選投票日を控え、駅前なんかはそれなりにかまびすしい。
各メディアは、候補者たちの主張やら何やらをバイアスかけて植え付けようと日々腐心している。
毎度のことながら何だかなと思えなくもない光景であるが、まあごくシンプルな意見として、選挙には行くべきだと思う。

オレは選挙なんて行かない、政治家なんてどいつもこいつも詐欺師でクズだ、誰にも一票入れたくない、という考えの人も多いだろう。その気持ちはよくわかる。しかし、ろくな政党がない、ろくな立候補者がいないからこそ、選挙には行くべきなのではないだろうか。むしろ、政治家になろうという者みんなが能力人柄ともに優れた人物であった方が、誰が当選しても良いのだから、わざわざ選挙に行く必要がないだろう。
 
別に、みなさん選挙に行きましょうなどと啓発するつもりもないが、自分が選挙には行くべきと考える動機付け、票を入れる目的についていくつか記してみようかと思う。
 

①少しでもマシと思える候補者に一票投じる

 
池上彰氏は折につけハッキリと言っている。
「選挙に行って、少しでもマシと思う方に一票入れてください」
そう。前提として、良い政治家などというのはほぼ存在しないのだ。ナントカ党のホニャララ氏は総理大臣になって、善政を敷いて民を救いましたとさ、めでたしめでたし、なんてことはまず有り得ない。
まあ政治家のセンセイ方にはカスかどカスしかいないと考えておけば良い。
だったらどカスよりも普通のカスの方を当選させた方がまだマシだ。
彼らの活動や言動などをきちんと調べれば、どっちがどカスか、それほど時間が掛からずに突き止めることができる。ふるってただのカスに投票すれば良いのだ。
 
しかし、持っている物差しによっては、マシな方なんておらんわ、どっちもどカスやんけという結論になってしまう人もいるだろう。
 

②自分の利につながる政党を勝たせるために一票投じる

 
何度も言うが、万人にとって素晴らしい政治家や政党などは存在しない。
ならばいっそのこと、自分自身のみの利益を考え、投票行動をすれば良い。
どの政党にも支持母体や関連組織があり、あなた自身や、家族、知人友人が勤めている企業がそのどれかに属していたり、近しい関係にあったりすることもあるだろう。
であれば、大義に目をつむり、自分たちだけでも景気が良くなりそうな方に票を投じるのは全然アリだと思う。
 
そんなレベルの話でなくても、選挙結果により生じうる世の中の動きを予測して、一稼ぎなんてこともできる。
4年前、自民党が政権奪還した総選挙のとき、自民勝利により株価が大幅に跳ね上がることを予測し、財を成した人は多いと聞く。現に自分の知人にもその際の稼ぎで新車を買った者がいる。当然、利益の出る確率をより高めるために自民党に投票したらしい。
あれほどのビッグウェーブはそうそうないだろうが、選挙に参加するということは、自己の利益を追求する行為ともなり得るのだ。
 
そういえば、ある宗教団体に入会している女性から、ある政党に投票してもらいたいと電話にてお願いされ、あわよくばその女性とイイコトできるかもと一緒に投票に出向いた人間を知っている。
まあ、そういう利の追求もナシではないのかもしれないが、結局ヤラしてくんなかったと憤慨していたので、やめといた方が無難とは思う。
 
とはいえ、どこの政党が力を持とうが、誰が当選しようが、特に暮らし向きが変わることはないという人も多いだろう。
 

③この人間だけは政治家にしちゃいけないと思う候補を落とすために一票投じる

 
或いは「ここにだけは力を持たせちゃいけないと思える政党の力を削ぐため」の投票行動
①の考え方で、マシな候補や政党を見出せない場合でも、こういう視点で見てみると、必ず「絶対当選させたくない」奴や「絶対権力を持ってほしくない政党」が見つかるはずだ。そいつらを追い落とすために選挙に行こう。
そのとき一票投じる対象が見つからない場合は、政党であればとりあえず対立陣営のどこかに、個人であれば下馬評で当選か落選間違いなしと言われている候補に入れておけば良い。
 
実際のところ、自分はこの考え方を以て投票することがほとんどである。
 
それでもどうしても、誰を当選させるべきかはもちろん、誰を落選させるべきかも結論を出せない人もいるだろうか。
 

④自分たちの世代の投票率をあげるために白票でもいいから一票投じる

 
白票は無効、だから投じても意味はないと主張する人もいる。まあ、間違ってはいない。
ただ、当落に影響を与えない無効票でも、投票率には影響する。
 
政治家連中は、高齢者ばかり厚遇する政策を打ち出し、若者を蔑ろにしていると言われている。
当然のことである。権力を維持するためには、絶対数が多い上に、選挙での投票率が高い世代におもねることは必要不可欠、ごく自然なことと言える。
逆に言えば、絶対数が少ない上に、選挙での投票率が低い連中など放っておかれて当然。そいつらに優しい社会を作りあげたところで、リターンがごく少ないからだ。
 
こういう状況を変えるには、あまりにも無駄な足掻きに思えるかもしれないが、世代ごとの投票率を上げるしかない。
極端な話、若者の投票率が100%近くなったとしたら、時の政権与党も無視はできないだろう。まして、白票率が高かったとしたら、ヘタなことをしたら一気に対立陣営に票が流れるという危機感も生まれるのではないか。
 
選挙権の放棄と、無効票を投じることは微妙に意味が違うのだ。
どうしても書くべき名前が見つけられない人は、こういうのもアリだと思う。
 
 
さて、翻って今度の都知事選。
個人的にはかなり投票しがいのある選挙だと思っている。
①の少しでもマシな候補がいるし、③の絶対に当選させちゃいけない候補も明らかに1人いる。敢えて白票を入れる余地などは無い。
 
都民として、日曜日は競馬もいいけど、まずは投票所へ足を運ぶことといたします。

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